三次元的な地下構造を有する堆積盆地の弾性・弾塑性地震応答解析

地盤内に不均一な堆積構造が存在する場合,地表面では局所的な強震動や長時間に亘る地震動の継続を生じ,被害が甚大化することが知られている.
本研究では,表に示す三次元球形堆積盆地を対象に地震応答解析を実施した.

(1)
材料を一相系弾性体とした場合,
三次元構造に起因して,円環状のひずみ分布や複雑な波動干渉が解かれた(動画参照).
その地表加速度は表(a)~(c)の低次元解析と較べて遥かに大きく,スペクトル特性も全く異なることから,三次元解析の重要性を指摘した.

(2)
材料を二相系弾塑性体として同様の解析を行った.緩い砂地盤を想定した場合,
堆積層全体での平均有効応力低下(液状化)と,それに伴い堆積層全体が流動する「スロッシング現象」が解かれた(動画参照).
液状化により波が伝わらなくなった結果,地表加速度は図(a)のように減衰し,堆積層内での伝達関数図(b)も時間経過とともに1未満に転じた.また,材料を軟弱粘性土とした場合には,顕著な増幅と長時間の揺れが解かれるなど,堆積層の構成材料による応答の差異も明らかとなった.