一般社団法人 geoasia (ジオアジア) 研究所

平成29年度 会長あいさつ

 今年の地盤工学研究発表会は7月12日から14日名古屋国際会議場でありましたが,GEOASIA研究会会員諸氏の発表10編以上を直接会場で聞くことができました.①空気~水~土骨格三相系解析による不飽和土の解析,②間隙水~土骨格連成解析のFull (u-w-p)Formulationによる適用域の拡大とその将来展望,③「複合負荷面」弾塑性構成式による液状化解析と地盤改良,④表面波の2,3次元計算と長周期・長時間強震動の再現⑤表層地盤非線形応答時の強震記録の逆解析と入力地震動の推定,⑥固有振動数・入力振動数に着目した模型飽和盛土斜面の震動台実験,からはじまって⑨震災瓦礫・津波堆積物の土質物性把握や,⑩締固め時の粒径と泥岩砕石集合のスレーキングの関係など,発表の内容・中身はきわめて多彩です.しかしどのひとつも会場で大きな話題になり,討議して質問に答える若い研究会会員の発言はいかにも頼もしいものでした.また,「液状化確率」というものがあって,それを求めるという他の研究発表に対して,「液状化は,するかしないか,0か1かの問題ではなくて,0から1まで稠密にいろいろある複雑な現象でしょう?それを0か1かなんて・・・」と指摘する若い研究会会員の質問も印象的でした.これら活発な質疑を通じて,GEOASIAとGEOASIA研究会への信頼がますます拡がってゆくのを目の当たりにしました.
今年,もう一つ重要と思うことがあります.6月の地盤工学会総会で,間隙水圧消散工法が液状化対策にどの程度有効なのかを,マクロエレメント法を機能拡張して搭載したGEOASIAによって数値解析した野田・山田・野中・田代論文が,論文賞(英文部門)を受賞しました.受賞そのものはいつもありがたいことですが,今年私が感心したのは,「地盤工学会論文賞を受賞して」と題する学会誌原稿のすばらしい出来栄えについてです.そこでは,間隙水圧消散工法について,なぜこのような解析が今までまったく出来なかったのか,理由を3点に亘って述べています.そして,砂質地盤が液状化するのか,それとも締め固まるのか,これを地震中はもちろん地震後までシームレスに解析できるのはGEOASIAを措いて他にはない.巷間に普及する2,3の「液状化専用プログラム」に対するGEOASIAの圧倒的な優位性を,いくつかの点について極めて分かりやすく説明しています.単なるマクロエレメント法の適用論文などではまったくない.GEOASIA研究会での受賞論文に関するこの種の文章は数ありますが,これはおそらくその中で白眉のものでしょう.8月号に載りますから,会員諸氏はぜひ楽しみにお読みください.
さて,巷間普及するいくつかの「液状化専用プログラム」と比べ,GEOASIAの圧倒的な優位性と書きましたが,そのことが広く深く知られるようになるにつれて,GEOASIAとGEOASIA研究会の「内向性」が学会と建設業界等で問題視されるようになってきています.「内向性」は決して研究会の本意ではありません.
「内向性」克服のためには,まず何より,GEOASIA Masterなどの若い地盤力学者育成のための,充実した内容の「地盤力学」教科書の作成が急務です.Taylorの教科書からCambridgeのCritical State Soil Mechanicsを経て,第3次地盤力学教科書革命が必要です.Terzaghi以来の土質力学の総まとめをしたTaylorの教科書,土質力学は「弾塑性力学」であるべきとしたCritical State Soil Mechanics,これらに引き続く「第3次革命」の柱は何か?まさか有限要素法・計算機・混合体・弾塑性構成式の精緻化,だけでは「革命」の名に当たりません.All Soils All States All Round Geo-analysis Integrationを巡って熱い議論がようやく始まるようになって来ました.
GEOASIAプログラムの公開販売と普及も「教科書」と並んで,あるいはそれ以上に待ち望まれている事柄です.GEOASIAは「地盤を作る」ところから始まります.「地盤の形と物性を与えて後は自重を掛ける」だけでは,本物の地盤にはなりません.沖積地盤の河川堤防で言えば,沖積地盤の堆積,堤防の構築,河道掘削等々,地震が来るまでにやるべき仕事が非常に多い.地元の名古屋港の計算では江戸時代まで遡って荷重履歴を追跡し,現在の地盤を再現しています.これらを含むGEOASIAの計算操作性の改善は難題ですが,プレ・ポストプロセッサーの充実,地盤の弾塑性パラメータのデータバンク化などとともに,着実に進行中です.ご期待ください.
より多くの技術者に試されることによってこそ,GEOASIAの潜在的能力は開花してゆくと考えています.会員諸氏をはじめ多くの皆様方のご支援をお願いする次第です.

平成29年8月


(公財)地震予知総合研究振興会副首席主任研究員 名古屋大学名誉教授
一般社団法人GEOASIA研究会
会長 浅岡 顕

会長あいさつ








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