一般社団法人 geoasia (ジオアジア) 研究所

平成30年度 会長あいさつ

 7月冒頭の西日本豪雨災害はとても衝撃でした.それで当初述べる予定にしていた内容はこの文章の最後少しだけにして,7月豪雨の話から始めます.
 6月末の台風7号に起因して,7月初頭から7月9日まで西日本,佐賀県から中国地方を経て岐阜県に至る,これまでによく知られていなかった「線状降水帯」による,広域の豪雨災害が発生しました.この広域性と合わせ,7月6日~7月8日までの三日間に連続した総量500ミリ以上(最大1800ミリ以上,於愛媛,高知)の強い降水記録も,ほとんど新記録ものです.
これにより220人以上の人命が奪われました.多くはマサ土地帯の斜面崩壊によるものです.しかしその中に,①倉敷市真備町での高梁(Takahashi)川支流の小田川などでの堤防決壊と,外水氾濫(River Flooding)内水氾濫(Overland Flooding)の区別さえ難しい,河川浸水害による死者が50名以上,②土石流の砂防ダム越流,砂防ダム破壊による広島県内での死者が23名以上,③ダム操作の「誤り」による死者が愛媛県で5名,が含まれていることも記憶されてしかるべきものです.
さて国交省は,東京荒川の上流域の埼玉秩父で3日連続降雨の総量が500ミリを超えると,荒川は(外水)氾濫するのだという,詳しいシミュレーション結果を短い15分の動画にまとめ,YouTubeに掲載しています.
広域とか連続大雨量とかの新型の西日本豪雨は,東京,名古屋,大阪などの大都市を襲うことはない,などとは考えられません.大都市で,下水や地下ダム,地下鉄など,内水氾濫の備えが充実してきているのは,よく耳にします.しかし地盤改良やスーパー堤防などの外水氾濫に備えた堤防強化が進んでいることは,ほとんど聞くことがありません.
豪雨だけではありません.首都直下地震,南海トラフ地震のターゲットは,実は東京など,これら大都市でしょう.堆積盆地を襲う長周期/長時間地震動は,「地震に強い?」はずの軟弱粘土地盤に大変状をもたらします.「大都市の軟弱地盤上の堤防が危うい」,このことはGEOASIAによる計算が近年強く示し続けてきた事柄です.上記3都市には,広大なゼロメートル地帯に合計400万人以上が暮らしています.地震によって堤防が破壊し海水が流入したらどうなるか?200人をはるかに凌ぐ数字が頭をよぎります.大大都市が,地震にも豪雨にも,自然外力に対しいかに脆弱かを思うと暗澹とします.豪雨災害の映像を見て「防災の原点はハードにある」,「地盤改良と堤防強化技術にGEOASIA は大きく貢献できる」,このことをもっと広く知ってほしいと,あらためて強く思いました.

GEOASIA研究会ではここ数年,特に理論面ですが,①砂質土の動的性質を細密に記述する複合負荷面モデルの深化,②空気~水~土骨格3相系解析の充実,さらに③Full Formulationによる多相混合体理論の精緻化と計算障碍の克服,これらが著しく進捗しています.このような地盤力学の理論と計算の確実な充実は,しかし一方で,研究と「GEOASIAの普及」との間での容易に折り合いのつかない事態も生み続けています.来年こそ皆様に,この点での大きな解決策を示したいと考えています.


平成30年8月


(公財)地震予知総合研究振興会副首席主任研究員 名古屋大学名誉教授

一般社団法人GEOASIA研究会

会長 浅岡 顕

会長あいさつ



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